2008年度から韓国では「家族関係登録制度」が施行され、在日韓国人(日本への帰化者含む)の相続手続用の戸籍謄本取り寄せが一段と複雑化しました。
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第2章 遺言

第2章 遺言

第1節 総則

第1060条(遺言の要式性)

遺言は、本法の定める方式によらなければ効力が生じない。

第1061条(遺言適齢)

満17歳に達しない者は、遺言をすることができない。

第1062条(無能力者及び遺言)

第5条、第10条及び第13条の規定は、遺言に関してはこれを適用しない。

第1063条(禁治産者の遺言能力)

(1)禁治産者は、その意思能力が回復した時に限り遺言をすることができる。

(2)前項の場合は、医師が心神回復の状態を遺言書に付記し、署名捺印しなければならない。

第1064条(遺言及び胎児、相続欠格者)

第1000条第3項、第1004条の規定は、受贈者に準用する。

第2節 遺言の方式

第1065条(遺言の普通方式)

遺言の方式は、自筆証書、録音、公正証書、秘密証書及び口授証書の5種とする。

第1066条(自筆証書による遺言)

(1)自筆証書による遺言は、遺言者がその全文、年月日、住所及び姓名を自署し捺印しなければならない。

(2)前項の証書に文字の挿入、削除又は変更をするには、遺言者がこれを自署して捺印しなければならない。

第1067条(録音による遺言)

録音による遺言は、遺言者が遺言の趣旨、その姓名及び年月日を口述し、これに参与した証人が遺言の正確であること及びその姓名を口述しなければならない。

第1068条(公正証書による遺言)

公正証書による遺言は、遺言者が、証人2人が参与した公証人の面前において遺言の趣旨を口授し、公証人がこれを筆記朗読して、遺言者及び証人がその正確であることを承認した後、各自署名又は記名捺印しなければならない。

第1069条(秘密証書による遺言)

(1)秘密証書による遺言は、遺言者が筆者の姓名を記入した証書を厳封捺印し、これを2人以上の証人の面前に提出して、自己の遺言書である旨を表示した後、その封書表面に提出年月日を記載し、遺言者及び証人が各自署名又は記名捺印しなければならない。

(2)前項の方式による遺言封書は、その表面に記載された日から5日内に公証人又は法院書記に提出して、その封印上に確定日時印を受けなければならない。

第1070条(口授証書による遺言)

(1)口授証書による遺言は、疾病その他、急迫した事由により前4条の方式によることができない場合に、遺言者が2人以上の証人の参与でその1人に遺言の趣旨を口授し、その口授を受けた者がこれを筆記朗読して、遺言者及び証人がその正確であることを承認した後、各自署名又は記名捺印しなければならない。

(2)前項の方式による遺言は、その証人又は利害関係人が、急迫した事由が終了した日から7日内に、法院にその検認を申請しなければならない。

(3)第1063条第2項の規定は、口授証書による遺言に適用しない。

第1071条(秘密証書による遺言の転換)

秘密証書による遺言が、その方式に欠缺があっても、その証書が自筆証書の方式に適合している時は、自筆証書による遺言と見なす。

第1072条(証人の欠格事由)

(1)次の各号の事由に該当する者は、遺言に参与する証人となることができない。

1.未成年者

2.禁治産者及び限定治産者

3.遺言により利益を受ける者、その配偶者及び直系血族

(2)公正証書による遺言には、公証人法による欠格者は証人となることができない。 

第3節 遺言の効力

第1073条(遺言の効力発生時期)

(1)遺言は、遺言者の死亡した時からその効力が生ずる。

(2)遺言に停止条件がある場合に、その条件が遺言者の死亡後に成就した時は、その条件成就した時から遺言の効力が生ずる。

第1074条(遺贈の承認、放棄)

(1)遺贈を受ける者は、遺言者の死亡後いつでも、遺贈を承認又は放棄することができる。

(2)前項の承認又は放棄は、遺言者の死亡した時に遡及してその効力が生ずる。

第1075条(遺贈の承認又は放棄の取消禁止)

(1)遺贈の承認又は放棄は、取り消すことができない。

(2)第1024条第2項の規定は、遺贈の承認及び放棄に準用する。

第1076条(受贈者の相続人の承認、放棄)

受贈者が承認又は放棄をせず死亡した時は、その相続人は相続分の限度において承認又は放棄をすることができる。但し、遺言者が遺言で異なる意思を表示した時はその意志による。

第1077条(遺贈義務者の催告権)

(1)遺贈義務者又は利害関係人は、相当な期間を定めて、その期間内に承認又は放棄を確答すべき旨を、受贈者又はその相続人に催告することができる。

(2)前項の期間内に受贈者又は相続人が遺贈義務者に対して、催告に対する確答をしない時は、遺贈を承認したものと見なす。

第1078条(包括的受贈者の権利義務)

包括的遺贈を受けた者は、相続人と同一の権利義務がある。

第1079条(受贈者の果実取得権)

受贈者は、遺贈の履行を請求することができる時から、その目的物の果実を取得する。但し、遺言者が遺言で異なる意思を表示した時はその意志に従う。

第1080条(果実収取費用の償還請求権)

遺贈義務者が遺言者の死亡後に、その目的物の果実を収取するために必要費を支出した時は、その果実の価額の限度において、果実を取得した受贈者に償還を請求することができる。

第1081条(遺贈義務者の費用償還請求権)

遺贈義務者が遺贈者の死亡後に、その目的物に対して費用を支出した時は、第325条の規定を準用する。

第1082条(不特定物遺贈義務者の担保責任)

(1)不特定物を遺贈の目的とした場合は、遺贈義務者はその目的物に対して、売渡人と同様の担保責任がある。

(2)前項の場合に、目的物に瑕疵がある時は、遺贈義務者は、瑕疵のない物により引き渡さなければならない。

第1083条(遺贈の物上代位性)

遺贈者が、遺贈目的物の滅失、毀損又は占有の侵害により、第三者に損害賠償を請求する権利がある時は、その権利を遺贈の目的としたものと見なす。

第1084条(債権の遺贈の物上代位性)

(1)債権を遺贈の目的とした場合に、遺言者がその弁済を受けた物が相続財産中に在る時は、その物を遺贈の目的としたものと見なす。

(2)前項の債権が金銭を目的とする場合は、その弁済を受けた債権額に相当する金銭が相続財産中にない時にも、その金額を遺贈の目的としたものと見なす。
 

第1085条(第三者の権利の目的である物、又は権利の遺贈)

遺贈の目的である物、又は権利が遺言者の死亡当時に第三者の権利の目的である場合は、受贈者は遺贈義務者に対して、その第三者の権利を消滅させる旨を請求することができない。

第1086条(遺言者が異なる意思表示をした場合)

前3条の場合に、遺言者が遺言で異なる意思を表示した時は、その意思による。

第1087条(相続財産に属しない権利の遺贈)

(1)遺言の目的とされた権利が、遺言者の死亡当時に相続財産に属しない時は、遺言はその効力がない。但し、遺言者が自己の死亡当時に、その目的物が相続財産に属しない場合にも、遺言の効力をあらしめる意思である時は、遺贈義務者はその権利を取得して受贈者に移転する義務がある。

(2)前項但書の場合に、その権利を取得することができず、又はその取得に過多な費用を要する時は、その価額により弁償することができる。
 

第1088条(負担のある遺贈及び受贈者の責任)

(1)負担のある遺贈を受けた者は、遺贈の目的の価額を超えない限度において、負担した義務を履行する責任がある。

(2)遺贈の目的の価額が、限定承認又は財産分離により減少した時は、受贈者はその減少した限度において負担する義務を免れる。

第1089条(遺贈効力発生前の受贈者の死亡)

(1)遺贈は、遺言者の死亡前に受贈者が死亡した時は、その効力が生じない。

(2)停止条件のある遺贈は、受贈者がその条件成就前に死亡した時は、その効力が生じない。
第1090条(遺贈の無効、失効の場合及び目的財産の帰属)遺贈がその効力を生ぜず、又は受贈者がこれを放棄した時は、遺贈の目的である財産は相続人に帰属する。但し、遺言者が遺言で異なる意思を表示した時はその意思による。

第4節 遺言の執行

第1091条(遺言証書、録音の検認)

(1)遺言の証書若しくは録音を保管している者、又はこれを発見した者は、遺言者の死亡後、遅滞なく裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。

(2)前項の規定は、公正証書又は口授証書による遺言には適用しない。

第1092条(遺言証書の開封)

法院が、封印された遺言証書を開封する時は、遺言者の相続人、その代理人その他、利害関係人の参与がなければならない。

第1093条(遺言執行者の指定)

遺言者は、遺言で遺言執行者を指定することができ、その指定を第三者に委託することができる。

第1094条(委託による遺言執行者の指定)

(1)前条の委託を受けた第三者は、その委託あることを知った後、遅滞なく遺言執行者を指定して、相続人に通知しなければならず、その委託を辞退する時は、これを相続人に通知しなければならない。

(2)相続人その他の利害関係人は、相当な期間を定めて、その期間内に遺言執行者を指定すべきことを、委託を受けた者に催告することができる。その期間内に指定の通知を受けることができない時は、その指定の委託を辞退したものと見なす。

第1095条(指定遺言執行者がない場合)

前2条の規定により指定された遺言執行者がない時は、相続人が遺言執行者となる。

第1096条(法院による遺言執行者の選任)

(1)遺言執行者がなく、又は死亡、欠格その他の事由によりなくなった時は、法院は利害関係人の請求により、遺言執行者を選任しなければならない。

(2)法院が遺言執行者を選任した場合は、その任務に関して必要な処分を命ずることができる。

第1097条(遺言執行者の承諾、辞退)

(1)指定による遺言執行者は、遺言者の死亡後、遅滞なくこれを承諾し又は辞退する旨を相続人に通知しなければならない。

(2)選任による遺言執行者は、選任の通知を受けた後、遅滞なくこれを承諾し又は辞退する旨を法院に通知しなければならない。

(3)相続人その他の利害関係人は、相当な期間を定めて、その期間内に承諾するか否かを確答すべき旨を、指定又は選任による遺言執行者に催告することができる。その期間内に催告に対する確答を受けることができなかった時は、遺言執行者がその就任を承諾したものと見なす。

第1098条(遺言執行者の欠格事由)

無能力者及び破産宣告を受けた者は、遺言執行者となることができない。

第1099条(遺言執行者の任務着手)

遺言執行者がその就任を承諾した時は、遅滞なくその任務を履行しなければならない。

第1100条(財産目録作成)

(1)遺言が財産に関するものである時は、指定又は選任による遺言執行者は、遅滞なくその財産目録を作成して相続人に交付しなければならない。

(2)相続人の請求がある時は、前項の財産目録作成に相続人を参与させなければならない。

第1101条(遺言執行者の権利義務)

遺言執行者は、遺贈の目的である財産の管理、その他遺言の執行に必要な行為をする権利義務がある。

第1102条(共同遺言執行)

遺言執行者が数人である場合は、任務の執行はその過半数の賛成により決定する。但し、保存行為は各自がこれをすることができる。

第1103条(遺言執行者の地位)

(1)指定又は選任による遺言執行者は、相続人の代理人と見なす

(2)第681条から第685条まで、第687条、第691条及び第692条の規定は、遺言執行者に準用する。

第1104条(遺言執行者の報酬)

(1)遺言者が遺言でその執行者の報酬を定めなかった場合は、法院は相続財産の状況その他の事情を参酌して、指定又は選任による遺言執行者の報酬を定めることができる。

(2)遺言執行者が報酬を受ける場合は、第686条第2項、第3項の規定を準用する。

第1105条(遺言執行者の辞退)

指定又は選任による遺言執行者は、正当な事由がある時は、法院の許可を得てその任務を辞退することができる。

第1106条(遺言執行者の解任)

指定又は選任による遺言執行者に、その任務を懈怠し、又は適当でない事由がある時は、法院は相続人その他、利害関係人の請求により遺言執行者を解任することができる。

第1107条(遺言執行の費用)

遺言の執行に関する費用は、相続財産中からこれを支払う。

第5節 遺言の撤回

第1108条(遺言の撤回)

(1)遺言者は、いつでも遺言又は生前行為により遺言の全部又は一部を撤回することができる。

(2)遺言者は、その遺言を撤回する権利を放棄することができない。

第1109条(遺言の抵触)

前後の遺言が抵触し、又は遺言後の生前行為が遺言と抵触する場合は、その抵触する部分の前遺言は、これを撤回したものと見なす。

第1110条(破毀による遺言の撤回)

遺言者が、故意に遺言証書又は遺贈の目的物を破毀した時は、その破毀した部分に関する遺言は、これを撤回したものと見なす。

第1111条(負担のある遺言の取消し)

負担のある遺贈を受けた者が、その負担義務を履行しない時は、相続人又は遺言執行者は、相当な期間を定めて履行すべきを催告し、その期間内に履行がない時は、法院に遺言の取消しを請求することができる。但し、第三者の利益を害することができない。

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